2011年9月11日日曜日
2011年8月3日水曜日
演奏会ご報告
初めてポルトガルの古都リスボンに行ってきました。呼んでくれたのは、友人で楽器製作者のヘールト・カルマン氏です。
カルマン氏は、オランダ人のチェンバロ、クラヴィコードの名工です。現在、(天気が良く食べ物のおいしい)ポルトガルに(天気が悪く食べ物のまずいオランダから)移り住み、リスボンの郊外で静かに楽器製作に専念しています。彼の工房の手伝いと、新しく出来上がったクラヴィコードのお披露目コンサートを工房で友人を招いてするということで、新品のクラヴィコードを何度も調律しながら、プログラムを準備しました。
クラヴィコード製作は、一見チェンバロよりも簡単そうですが、実際に優秀なメーカーはほとんどおらず、楽器の展示などを見に行っても良い楽器を見かけることはまずありませんが、カルマン氏の楽器は非常に優れたクオリティーの楽器で、私の持っている大型のクラヴィコードはたびたびレオンハルトが好んで演奏会で使用してます。
今回演奏した楽器は、ライプツィヒにあるゲルシュテンベルクというジルバーマン系統の製作者の楽器(1763年)をコピーしたものです。音域はC-e3のフレットなし。バッハを演奏するのに最適の楽器でした。演奏したのは、平均律第1巻から1番と2番のプレリュードとフーガ、インヴェンションとシンフォニアから抜粋、ヴェックマンの組曲ロ短調、フランス組曲第1番ニ短調などです。新品でしたが、非常に美しく鳴り、表現の幅も広く、これから1年もすればかなりの楽器になると思われました(新品は弦が張りたてで弾きにくく、音の伸びが多少少ない)。会場には20人ほど(クラヴィコードにはちょうどいい)集まり、コンサートの後にはワインと軽食でパーティーとなりました。
ちゃんとオリジナルどおりに製作されたクラヴィコードは、演奏家にとっては試金石となります。小手先だけのテクニックでは、そもそも音を出すことすらできません。0.1ミリ単位のコントロールが必要になります。現在、弾きやすいようにアレンジした楽器が横行しています。確かに鍵盤の沈みをオリジナルより浅くしたり、弦を細くすれば、だれでも簡単に弾ける楽器にはなります。が、表現の幅が極端に狭くなり、そうした可能性の少なく、カタカタとキーの音ばかりが聞こえる粗悪品では、クラヴィコードの真髄を味わうことは到底不可能です。というわけで、長野で皆さんにバッハが愛奏したといわれるクラヴィコードのコンサートを楽しんでいただける日が来るように、努力して行きたいと考えております。
風間芳之
2011年7月18日月曜日
コンサートスケジュール更新のお知らせ
7月28日
クラヴィコード・コンサート
プログラム:バッハの鍵盤作品から
場所:ポルトガル/リスボン
8月15日
ラ・スフェラ・アルモニオーザ
パーセルの管弦楽曲とアリア
場所:オランダ/アムステルダム
コンセルトヘボー大ホール
9月2日
ラ・スフェラ・アルモニオーザ
ユトレヒト古楽祭
場所:オランダ/ユトレヒト
11月6日
新オランダ・アカデミー
バッハのチェンバロ協奏曲集
場所:オランダ/ハーグ
訳書刊行のお知らせ
拙訳書が刊行されました。
ペドロ・デ・アルカンタラ著『実践アレクサンダー・テクニーク――自分を生かす技術――』(春秋社)です。今回は、多くの人に役立てていただけるような本かと自負しております。ぜひ、ご一読をいただければと思います。親しい友人の著作を翻訳できると言うことは、非常に稀で、楽な(いつでもメールで質問できる)ことでして、著者のペドロさんには感謝(原本に大幅な修正補筆をしていただきました)です。ペドロさんは現在弦楽器奏法についての著作に取り掛かっており、オックスフォード大学出版局から刊行予定です。また、処女作Indirect Proceduresの改訂版にも取り組んでいると言うことで、読者としては、息を切らしながら伴走していくことになりそうです。
前のトン・コープマン著『トン・コープマンのバロック音楽講義』(音楽之友社)はごく専門的な本ながら、すでに今年、刊行二年目にして第4刷(!)となり、大変好評いただいております。私たちHIP(歴史的な演奏法)を目指す演奏家がどんなことを考えているのか、読んで頂けると分かっていただけるのではないかと思います。
今年は、後もう一冊、できれば二冊訳書を出したいと思い、現在準備作業中です。一つは、音楽演奏スタイルについての非常に面白い本です。詳しくは後日お知らせします。
風間芳之
チャリティーコンサートのお礼とご報告
チャリティーコンサートにお越しいただいたみなさまへ
このたびは、ジョシュ・チータムと風間芳之によるチャリティーコンサートのにお越しいただきまして、まことにありがとうございました。出演者並びに主催者一同、心よりお礼申し上げます。
バッハのガンバ・ソナタ全3曲は、バッハの室内楽作品の中でも最も“アット・ホーム”な、親密な音楽です。ジョシュとは何度もコンサートを重ねたレパートリーで、その中から2曲を長野で(=日本で)初めて演奏いたしました。
残念ながら、予約完売によりご来場をお断りせざるをえない状況となり、お越しいただけなかったみなさまには重ねてお詫び申し上げます。いずれ全3曲を入れたプログラムを、さらに磨きをかけた演奏(と、もう少し涼しい環境!)でお聞きいただける日が来ることを、演奏者ともども楽しみにしております。
最後になりますが、ご協力いただいたみなさまにお礼申し上げると同時に、震災で被害にあわれた地域の一刻も早い復興、原発の問題の解決を祈念して。
風間芳之
* * *
おかげさまで、合計16万3744円となりました。
この金額を日本赤十字社に寄付させて頂きました。
この場を借りて、ご報告とお礼申し上げます。
2011年6月18日土曜日
緊急告知 東日本大震災及び栄村大震災チャリティーコンサート
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東日本大震災及び栄村大震災への哀悼の意とお見舞いとチャリティーコンサートのお知らせ
2011年4月2日土曜日
古楽への誘い~17世紀イタリアの初期バロック音楽~
会場 須坂市文化会館(メセナホール)小ホール
出演 風間芳之(チェンバロ)
曲目 D.カステッロ=2声のソプラノ楽器のためのピアノソナタ
G.B.フォンタナ=器楽のためのソナタ
お問い合わせ先/申し込み方法